こんにちは、
スタジオ・カミックス管理人のカーミー@StudioKamixです。
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最近ブログばかり書いていたせいか、
読む本もブログ関連の本やビジネス書が多かったので
しばらく小説から遠ざかってました。
そんな折、Twitterのツイ友さんが
西加奈子さんの新刊の紹介をしていたので
「これは読みたい!」ってことで
早速書店で手に取りました。
久々にTSUTAYAで
本をかった。
セルフレジは
なんか味気ないですね。
とはいえ、
西加奈子さんの
5年ぶり長編
楽しみにしてました。
(*`艸´)
神棚でもう少し
寝かそうかな(笑)
( ̄▼ ̄*) pic.twitter.com/ldx7rU1k7X— カーミー@Studio-Kamix(都市計画でおウチを追われ中) (@StudioKamix) October 30, 2021
目 次
西加奈子さん久々の長編
久々の西加奈子さんの長編ってことで、
「これはじっくり時間をかけて読みたいな・・・」
と読み始めたのですが、
冒頭から西加奈子ワールドに取り込まれてしまい、
気がつくと小説の物語のことを考えていたりして
続きが気になって気になってしょうがない・・・。
結局は、ジワジワ読むつもりが
あっという間に読まされてしまいました(泣)
ものすごい「読ませ力」
あらためて西加奈子さんの「筆の力」に驚愕しました。
西加奈子さんの読ませる文章
僕は、最近ブログを書く量が増えて
文章に関する知見も増えたので
西加奈子さんの小説を読みながら
西加奈子さんのつむぐ文がどうして読みやすいか?
って云うのをひもといてやろうと企んでいましたが、
気づくと物語に惹き込まれて、
恥ずかしながら文章をひもとくなんてことは
これっぽっちも出来ませんでした(笑)
例えるならば、漫才の研究をしに行ったのに
爆笑させられて終わった(笑)
みたいな感じでしょうか?例えあってるかな?
なので、あらためて西加奈子さんの研究の余地を与えない
魔法のような文章の凄さを目の当たりにしました。
二人の青年の物語
この物語は二人の青年のお話です。
どちらの青年の人生も・・・、
鮮明に、
容赦なく、
大胆かつ繊細に
描かれていて物語に胸ぐらをつかまれる感覚でした。
物語の中では時には胸が苦しくなるような、
救いのないフェーズもあるのですが、
それが、さらに物語を力強く彩って
まるで家の壁全体もありそうな巨大なキャンバスに描かれた
極彩色の力強い油絵を見ているかの様な錯覚を覚えます。
或いは、
8気筒の大きなエンジンを積んだ激しく揺れるトラックに
乗せられ、どこかへ連れて行かれるかの様な力強さで
物語は進んでいきました。
現代社会の問題が散りばめられた小説
小説のテーマの中には
「ネグレクト」や「ハラスメント」「ブラック企業」「奨学金」などなど
現代社会の問題が散りばめられています。
いろんな問題について考えさせられもしたのですが、
この物語を読んで最終的に残ったことは・・・、
なんだろうか・・・?
・・・と深夜にこの小説を読了した僕は、
激しく揺れるトラックから放り出された様な感覚から
しばし、ボーッとして考えました。
ふと本に目をやるとハードカバーの絵に目が行きました。
主人公のアキだろうと思われる男が歯を食いしばっている様子が
顔の下半分から首にかけて描かれています。
裏面にはアキに酷似しているフィンランドの俳優が
子供の時に「狼」に似ていると云われた事からか
狼が描かれています。
本を手にした時から、なんとなくこの絵が気に入ってました。
そういえば、誰が書いた絵なのかな・・・?と思い、巻末を調べると
「絵:西加奈子」
と書かれていて・・・また驚愕。
本人が書いた絵だったのか・・・・普通に上手い。
「才能ありすぎだろ・・・・」
さらに、絵をよく見ようと思って
するりとカバーを外してみると
なんとその下からまた絵が現れました。
夜明け
現れた絵は、おそらく「夜明けの景色」
そして、描かれている森は「フィンランドの森」
小説の場面がフラッシュバックしました。
救いの少ないお話だ・・・もっと救いがほしい・・・・
と読んでいる途中に暗澹たる思いを抱いたのですが、
カバーに隠されたこの絵を見て
なぜだか?ものすごく救われた気分になりました。
「夜が明ける」
そう云う意味か・・・、となんだか納得。
西加奈子さん
夜が明ける
読了。
久しぶりに小説読んだ。
少しずつ読もうと思ってたのに
一気に読まされてしまう。
心を鷲掴みにされて終わった。
西加奈子さんの作品は
いつもそうだったと思い出した。
装丁の絵は西さんの絵、
何の気なしに表紙を取ると
もう一枚絵が隠れてた。
物語が再び沁みた。 pic.twitter.com/zPnrJK35GZ— カーミー@Studio-Kamix(都市計画でおウチを追われ中) (@StudioKamix) November 9, 2021
テレビの厳しい業界の中で一人で戦い抜いてきた主人公の一人が
最後に仕事をやめてボロボロになった時、
人に助けを求める術を身につける。
人は強くなくてはいけない。
と同時に、弱くても良い。
優しい様な、厳しい様な、多様性がうごめく
不思議な時代であり、不思議な社会だ。
そんな中で生き抜いていくには
「しなやかな心」が必要なんだ。
そんな事を二人の主人公から教わった様に思う。
傑作でした。
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参考
小泉今日子と西加奈子が語る 現代社会の問題に声を上げ、発信し続ける理由Yahoo!ニュース
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